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【名古屋市西区】春を待つ和菓子「椿餅」。京菓子司・亀広良で味わう季節の一品

名古屋のまちで、季節のうつろいをそっと教えてくれる存在——和菓子。
とくに名古屋市西区には、日常の中で日本の季節文化を感じさせてくれる名店が、今も静かに息づいています。

寒さの中に、少しずつ春の気配を感じ始める頃。
そんな時季になると、自然と恋しくなる和菓子があります。

今回訪れたのは、名古屋市西区に店を構える 京菓子司 亀広良
昭和29年の創業以来、伝統を大切にしながらも、現代の暮らしに寄り添う和菓子を作り続けてきた、名古屋を代表する和菓子店です。

名古屋市西区に息づく、京菓子の系譜

現在の店舗は、10年ほど前に西ハサバ交差点近くの旧店舗から移転したもの。
建物自体は比較的新しいものの、店構えには凛とした落ち着きがあり、自然と背筋が伸びるような、品のある空気が漂います。

「亀広良」という名に聞き覚えのある方も多いかもしれません。
京都の老舗・亀末廣からのれん分けされた「名古屋亀末廣(2012年閉店)」の唯一の別家として、その流れを今に伝える存在です。

銘菓「うすらひ」や「茶三昧」など、名古屋亀末廣の味わいも、ここ亀広良で大切に受け継がれています。

今の季節にこそ味わいたい「椿餅」

2024年1月撮影

店内のショーケースには、季節の上生菓子がずらりと並びます。
干菓子や羊羹、和風ブッセなど、手土産にしやすい品も豊富ですが、この日のお目当ては、やはり椿餅でした。

椿餅は、一説には日本最古の餅菓子ともいわれる存在。
『源氏物語』第34帖「若菜上」には、蹴鞠を楽しんだ後の宴に供された菓子として登場するほど、長い歴史を持つ和菓子です。

凛とした美しさを、そのまま形に

椿餅は通年菓子ではなく、取り扱いの時期が限られています。

椿餅というと、道明寺でこしあんを包んだものを思い浮かべる方も多いかもしれません。
亀広良の椿餅は、しっとりとした羽二重餅でつぶあんを包んだ仕立て。

上下を椿の葉でそっと挟んだだけの姿は、余計な装飾のない、潔い美しさがあります。
艶やかな白の羽二重餅と、濃い緑の椿の葉。
冬の寒さに耐えながら花を咲かせる椿の姿と重なり、見ているだけでも、季節の移ろいが感じられます。

ひと口いただくと、きめ細やかでやわらかな羽二重餅の中から、丹波大納言を使用したつぶあん。
甘さは控えめで、ほどよい粒感が心地よく、口の中ですっとほどけていきます。

「平安の貴族たちも、こんな味わいを楽しんでいたのだろうか」——
そんな想像が自然と浮かぶ、静かで雅なひとときでした。

春を待つ時間のおともに

暦の上では春を迎え、寒さが緩む日も少しずつ増えてきます。
椿餅は、そんな季節の狭間に、そっと寄り添うような一品です。

自分への小さなご褒美にも、大切な方へのおもてなしにも。
名古屋で、京都の系譜を受け継ぐ一軒の椿餅から、春の訪れを感じてみてはいかがでしょうか。

店舗情報

  • 店名:京菓子司 亀広良
  • 電話:052-531-3494
  • 住所:名古屋市西区上名古屋1-9-26
  • 営業時間:9:00~18:00
  • 定休日:火曜日・水曜日
  • 公式サイト:あり